名所絵師として名を馳せた歌川広重は、生涯において数多くの東海道の揃物を手掛けています。風光明媚な名所にとどまらず、街道のさままな情景や風物に合わせ、豊かな四季の移ろいと変化に富んだ天候を盛り込んだ抒情的な作品の数々は、現代でも本をはじめ世界的に根強い人気があります。
本展では、広重が最初に手掛けた東海道の揃物にして、最も好評を博した『東海道五拾三次之内』(通称保永堂版東海道)と、亡くなる三年前に刊行された最後の東海道の作品『五十三次名所圖會』(通称竪絵東海道)をご紹介します。刊行年に約二十年の開きがある二つの揃物から、広重の風景を描く画法の変化をたどります。