ス・クーナハ(父、1472-1553年)は、ヴィッテンルクの宮廷画家として名を馳せた、ドツ・ルネサンスを代表する芸術家です。大型の工房を運営して絵画の大量生産を行うなど、先駆的なビジネス感覚を備えていた彼は、一方でマルティン・ルターにはじまる宗教改革にも、きわめて深く関与しました。けれども、この画家の名を何よりも忘れがたいものにしているのは、ユディやサロメ、ヴィーナスやルクレティといった物語上のヒロンたちを、特異というほかないロティシズムで描きだしたメージの数々でしょう。艶っぽくもめた、蠱惑的でありながら軽妙なそれらの女性像は、当時の鑑賞者だけでなく、遠く後世の人々をも強く魅了してきました。

本初のクーナハ展となる本展では、そうした画家の芸術の全貌を明らかにすると同時に、彼の死後、近現代におけるその影響にも迫ります。1517年に開始された宗教改革から、ちょうど500年を数える2016-17年に開催されるこの展覧会は、クーナハの絵画が時を超えて放つ「誘惑」を体感する、またとない場になるはずです。