繊細できらびやかな装飾、洗練されたデン、手の平に乗る愛らしい大きさ、更に小さな箱がいくつも入っているものもあり、サリーを入れてもよし、お菓子を入れてもよし、蒔絵の小箱はついつい集めたくなる要素を備えている。
 蒔絵は本独自に発展した器の装飾技法で、幕末・明治期にその技は極致に達した。鎖国の開けた19世紀には、西洋人たちをも魅了し、おびただしい数の蒔絵の小品が海を渡っていった。元来お香を納めるために作られた小箱も少なくないが、その蓋をあける時、西洋の人々もまた、本の風雅なびの面影をみることができたのかもしれない。
 今展では、欧米より里帰りした作品を含めた小箱、およそ60点を展示する。