17世紀初頭、佐賀・有田に本初の磁器である伊万里焼が誕生しました。その技術を昇華させ、17世紀中頃に創出されたのが鍋島焼。これらは、その頃輸入が困難となっていた中国陶磁器にかえて、徳川将軍家へ献上することを目的としたうつわです。佐賀鍋島藩は、技術漏洩防止のため人里離れた伊万里・大川内山(おおかわちやま)に直営窯である鍋島藩窯を築き、有田から優秀な陶工を集め、採算度外視でその製造に当たりました。
鍋島焼が技法・意匠ともに最も洗練されるのは、17世紀末から18世紀初頭。その頃の主体は、高い高台を持つ深めの木盃型(もくはいがた)と呼ばれる丸皿であり、その大きさは尺皿、七寸皿、五寸皿、小皿と規格化され、使用される色数も染付の青、色上絵の赤・緑・黄の4色に限定されていたと考えられています。描かれる文様は、献上品という性格上、祥・慶祝の文様が好まれたとみられ、桃、亀甲、宝尽くしなどが多く描かれています。他に絵手本帖から取材したと思われる植物や、和歌に詠われる題材も取り入れられました。これらを、丸い画面に巧みに意匠化して配置し、細部まで神経の行き届いた丁寧な賦彩を施すことで表現しています。
今展では、「色絵 十七櫂繋ぎ文 皿」を初出展。鍋島焼の色絵尺皿は現存数が少なく、本作は長くヨーロッに伝わっていたため本ではその存在が知られてきませんでした。色とりどりの櫂を綱で繋いだ躍動感のあるデンが見所です。この他、最盛期の鍋島焼を中心に、その前後の作品を含めた約70点を展示し、鍋島焼の変遷をご紹介いたします。また、鍋島家伝来の図案帳の一部を特別公開いたします。