「六本木クロッシング」は、森美術館が3年に一度、日本のアートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として2004年から開催してきたシリーズ展です。5回目となる本展では、日本、韓国、台湾の4人のキュレーターによって選ばれた、20組のアーティストのバラエティーに富んだ表現を通して、日本の現代アートを幅広い視野から検証し、今日の社会とアートについて考察します。
今日、グローバル化やITの発達、SNSの普及により、個人による情報発信が可能となり、ネットを介したバーチャルなコミュニケーションの機会が増大しています。このことは自己と他者の関係性にも大きく影響を与え、これまで当たり前のように考えられてきた社会制度や世の中に存在する様々な枠組み、価値観の見直しが求められています。本展では、独自のリサーチを通して、個の事象やストーリーにスポットを当てる作品を制作している、アーティストたちのまなざしを通して、歴史や身体、性、風景についての新たなイメージを描き出します。「私」とは誰だろう。私の身体はどのように歴史や他者とつながっているのだろう。過去と未来、自己と他者が交錯する感覚を味わいながら、世界と自分との新たな関係性を探ります。
会期 | 会場 | 備考 |
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2016年03月26日〜2016年07月10日 | 森美術館 (MAM) |
現代アートの可能性にふれることができる展覧会です。日本だけでなく、韓国や台湾の発想力も感心させられます。リアルな人形が凄いです。
六本木クロッシングは以前にも行ったことがありますが、今回が一番凄いと思いました。日本だけでなく、韓国や台湾のアーチストの発想は斬新でした。リアルな人形が一番印象的でした。
今回の展覧会では20組のアーティストの作品が展示されていてその中でも私が好きなアーティストである毛利悠子の作品が見たくて休日に訪れました。毛利悠子氏の作品は世界観が独特で見ていて引き込まれるものがあります。
他にも面白い作品ばかりで楽しむことができました。
国内外20人の若手アーティストを複数のキュレーターが選出した展覧会。人は自分の体をどう認識するか、そしてその体を介してどう他者と繋がるのかといったことを考察するものでした。女性が外に向かって見せる顔と、本当の自分の顔の狭間で生きていることが表現されている松川朋奈の絵画作品が印象的でした。
「六本木クロッシング」は、森美術館が日本のアートシーンを総覧する展覧会として3年に一度開催している展覧会です。
今回は、瞬間的に「面白い!」という作品よりも、一見よくわからないけれども気になって、家に帰ってからもじわじわとその意味を考えさせられるような作品が多いように感じました。
会場に並ぶ作品のテーマは、戦争や沖縄、オリンピックやLGBTといった、よく耳にはするけれども普段の生活とは少し離れているようにはじめは感じられました。
同性カップルの子どもを可視化する、長谷川愛さんの「(不)可能な子供」は、今年のメディア芸術祭で優秀賞を受賞された作品ですが、今回の展示では作品そのものだけでなく、そこから生まれる議論に注目しているのが印象的でした。”同性同士でも子供を産むことができる”という選択肢が増えるのは良いことのように思えたけど、宗教的な理由以外にも「女性が不要になる」「多様性受容文化が脅かされる」といった、自分が想像もしていなかったような様々な反対意見があり、価値観は人によって全く異なる、ということを改めて認識させられました。
韓国の学生たちに太平洋戦争中の日本を演じさせる藤井光さんの「帝国の教育制度」という映像作品は、観ていてよい心地がしないながらも、そのもやもやした感覚はどこからくるのか?ということを考えながら最後まで見入ってしまいました。それは、歴史の授業に対する不信感や、戦時中の教育と変わらない現代の体育の授業への嫌悪感など、自分自身の個人的な体験とつながっているように感じました。
そんな中、毛利悠子さんの「From A」は、タイトルの通り左下にある「A」の文字の仕掛けを起点として、電気や風といった目に見えないものが伝達されることで右上の仕掛けの動きまでつながっていく、「風が吹けば桶屋が儲かる」といった感じのユニークな作品で、少し毛色が違って見えました。
でも一通り展覧会を見た後に、この作品が作品がエントランスに置かれた理由を考えつつ、今回の展覧会で自分が考えたことを思い返してみると、はじめは自分とは少し距離感を感じたテーマも、実は毛利さんの作品のように緩やかな関係性をもって自分の過去の体験と結びつき、考え方をかたち作るもとになっているのかもしれないと感じました。
なお、この展覧会は20分を超える映像作品も多くなかなかのボリュームがあります。(私も全ての映像は見きれず…) 時間に余裕を持って、気になる作品から見ていったほうがよいかもしれません。
全作品写真撮影がが可能、オーディオガイドは無料の貸し出しです。
(写真は、毛利悠子さんの《FromA》。
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。)
※ その他の作品の感想や写真をブログに載せています。
自分と社会との緩やかなつながりに気づく ー「六本木クロッシング2016」@森美術館。 http://blog.goo.ne.jp/cecil_got_blues/e/befb3ab6396d7fd93aaf3fc3715728d7