髙島野十郎(1890-1975)は「孤高の画家」「蠟燭の画家」として、NHK「日曜美術館」でも再三取り上げられるなど、近年多くの人々から注目を集めている洋画家です。明治23(1890)年、福岡県久留米市に酒造家の四男として生まれた野十郎は、東京帝国大学農学部水産学科を首席で卒。その後、念願であった画家への道を選び、敢然と歩みだしました。「世の画壇と全く無縁になることが小生の研究と精進です」とする野十郎は、独力で油彩技法の研究を重ね、会派や団体などには所属せず、家庭を持つことさえ望まず、自らの理想とする写実的な絵画を生涯にわたり追求し続けました。
野十郎の超俗的な画は、生前には広く知られることはありませんでしたが、福岡県立美術館によって「再発見」され、その後は展覧会を重ねるにつれ、単なる再現的描写を超えた生命観あふれる精緻な写実表現、光とに込められた高い精神性が、ますます評価されています。
本展の巡回は髙島野十郎没後40年にあたる平成27(2015)年にスターしました。孤高の画家・髙島野十郎の到達点とも言える「蠟燭」や「月」シリーズ、さらには「すいれんの池」や「からすうり」をはじめとする風景画静物画など、代表作を数多く含む約140点を、五つの大きなピックに沿ってご覧いただきます。また、近年新たに発見された作品、これまで紹介されたことのない作品、科学的調査による技法分析結果などもまじえ、人々の心と目を引き付けて止まない髙島野十郎の深遠なる絵画世界の全貌に迫る、「決定版」ともいえる展覧会となっています。